【小倉祇園太鼓】祭りの歴史、見どころ、日程等(北九州市小倉北区)

「太鼓の祇園」として全国にも名高い『小倉祇園太鼓』。映画「無法松の一生」の舞台としても知られている、北九州市の伝統的なお祭りの一つです。

小倉っ子が結婚式を行う時は、結構な確率でこの小倉祇園太鼓が登場し、場を盛り上げるなど、北九州市小倉北区の地元小倉っ子には、小さな頃から慣れ親しまれているお祭りです。

元々戸畑っ子である私も、小倉に住むようになり、何年も参加させて頂きました。そこで今回、この小倉祇園について、様々な観点からお伝えさせて頂きます。

小倉祇園太鼓の開催日程

まずお祭りの日程ですが、現在は毎年7月1日に打ち初め式で祭りがスタートします。この打ち初め式は、太鼓の練習解禁日でもあり、7月の第3金〜日の本番に向かって、この日を境に小倉の街は太鼓一色になります。

2018年の小倉祇園太鼓の本番は、7月20日(金)、21日(土)、22日(日)です。

小倉祇園太鼓の特徴

全国的にも珍しい「両面打ちの太鼓」が小倉祇園太鼓の特徴です。

音程の違う両面の太鼓で「カン」と「ドロ」という、異なる打法、演奏を行います。「カン」はメロディーライン、「ドロ」はベースラインとご理解頂けると分かりやすいと思います。

それに指揮者の役割も兼ねた「ヂャンガラ(摺り鉦)」の最低3人編成が、1台の太鼓当りの、小倉祇園太鼓の基本となります。

しっかりとしたリズムの「ヂャンガラ」と、ベースラインである「ドロ」、華麗な打法とともに繰り出される「カン」、この三者の息がピッタリ合って、初めて、躍動感、グルーブ感のある素晴らしい演奏となります。(写真は競演会での名人たちによる太鼓披露)

同時期に各地で沢山の太鼓が繰り出しますので、その中から、このグルーブ感や、打ち手の所作を観ながら、良い演奏者を見つけるのが楽しみ方の一つです。

各町内毎に山車を持ち、その前後に据え付けた太鼓2台を、先程の3人一組、前後で6人一組として、巡行しながら演奏して回ります。そして、山車の引手は町内の子どもたちが担うのが一般的です。

山車で運行しながら太鼓を叩く他に、据え太鼓でも披露されます。

また、各町内の他に、一部企業、団体で参加しているチームもあります。

各町内とは別に、一般的に山車を持たずに、太鼓を据えて「据え太鼓」のみを披露するチームも多数存在します。

これは各町内から派生したものであったり、有志で結成されたものなど様々。「小倉祇園太鼓◯◯会」などと名乗って、浴衣ではなく法被などを着ていることが多いです。(写真は小倉祇園太鼓 鼓(つづみ)会)

小倉祇園太鼓の歴史

小倉祇園太鼓の歴史は古く、1617年(元和3年)に、小倉祗園社(現在の小倉の八坂神社)が創建されて始まったということで八坂神社は2017年が御創建400年、そして2年後に始まった小倉祇園は、2019年には400年という歴史を誇るお祭りです。

関ヶ原の合戦で功績を上げた藩主細川忠興が、小倉城を築城し、京都生活の経験から、祇園祭のようなお祭りを取り入れようと、小倉祗園社(八坂神社)を創建したことが始まりとされています。

今でこそ「太鼓祇園」として、太鼓が主役となっており、確かに昔から太鼓も叩いてはいましたが、本来の小倉祇園の主役は「御神幸」です。

槍、弓、宝剣などが先導する神輿の行列に、各町内のチームが人形を飾った山車、踊り子に囃子方(三味線、太鼓、鉦、笛)を構成し、大行列だったらしい。また、各町内には行列での順番があったそうです。

なお、当時の太鼓は棒や竿などにくくりつけられたもので、各町内をその姿で練り歩いたそうです。今でも後述の競演会の中や、祭り期間中、たまに観ることが出来ます。

また、この美しく飾った山車と、踊り子、お囃子たちのグループを「まわり祇園」といったそうで、明治の終わり頃に飾り山笠が姿を消して、現在の姿になってから、徐々にこの「まわり祇園」は姿を消したそうです。(「小倉藩史余滴」米津三郎著、一部引用)

しかし現在は、最終日に、全ての太鼓が大集合して打ち鳴らす「廻り祇園」(後述)として、形は違えども、今に受け継がれています。

小倉祇園太鼓の見どころ

では小倉祇園太鼓の見どころについてお伝えします。

打ち初め式

一つ目が冒頭にお伝えした「打ち初め式」。小倉駅という人の往来が激しい一番の舞台で、数百人の参加者による太鼓披露です。日時は7月1日19時より、JR小倉駅小倉城口(南口)2階ペデストリアンデッキです。

2018年の様子

各町内の練習風景

「打ち初め式」で解禁となり、各町内や「保存会」は一斉に太鼓の練習を開始します。小倉の至る所が太鼓一色となり、祭りムードが高まります。

小さな子どもたちが一生懸命に打つ姿、お兄ちゃんお姉ちゃんが小さい子に教える姿など、ほのぼのしています。

御神幸

古来からの小倉祇園祭りの姿を今に伝える姿である「御神幸」を、今でも観ることが出来ます。400年の歴史を感じるもので、地元の人も、あまり知らない本来のお祭りの姿です。

祭り本番のスタートにあたる第3金曜日に開催されます。

例年13時(年によって若干前後することもある)に八坂神社でお祭りが始まり、14時頃に八坂神社を出発、その後、魚町を通って御旅所である室町に向かいます。

2016年の様子を友人が動画を編集していましたので、ご紹介します。

競演大会

各町内の日頃の成果を競う場が「競演大会」です。ここには小倉井筒屋など地元企業のチームも参加しています。太鼓、衣装、参加者の動きなど総合的に審査されます。

場所は小倉城と北九州市庁舎の間「大手門前広場」で開催されます。

有料観覧席(500円)があるので、こちらを利用するのがオススメです。当日いきなり行っても、大体空いていますので、事前購入していなくても大丈夫です(例年の場合ですので、あしからず)。

開催の時間帯が15時半〜19時と、まだまだ暑い時間で、かつ長時間ですので、熱中症対策をしてからご覧下さい。また、お目当ての町内、団体だけを観るなどの工夫をして下さいね。

最初は平松神輿が登場し、ゆっくりと、そして豪快に担ぐ独特のスタイルで、厳かな雰囲気となります。

その後、各町内、企業などが順に登場に、今年の出来を競います。また、山車や浴衣、法被の違いも見どころの一つです。

据え太鼓競演会

前日の、各町内が中心の競演大会と異なり、「保存会」のチームを中心とした競演会です。前述のように「保存会」には一般的に山車がないので、太鼓を据えて演奏する「据え太鼓」による競演会です。

この日は11時〜14時半と前日以上に暑い時間帯ですので、観覧時には、暑さ対策など、十分にご注意下さい。場所は同じく「大手門前広場」となり、同じく有料観覧席があります。

前日の競演大会と違って、各チーム趣向を凝らした構成や打法、また「無法松の一生」に倣った暴れ打ちのようなスタイルなどを楽しむことが出来ます。

据え太鼓披露

祭り期間中の金〜土曜日の18時〜21時45分にかけ、商業施設のリバーウォーク北九州や、北九州市役所周辺では、山車から下ろして据えた状態での太鼓を披露します。

おもてなし太鼓

誰でも太鼓を叩ける機会があります。それがこの「おもてなし太鼓」。

土日の13〜14時に開催されます。

会場は土曜日が「勝山橋」。

日曜日が「ちゅうぎん通り」「みかげ通り」です。

廻り太鼓

日曜日の18時から、小倉祇園太鼓のフィナーレを飾るのが、全ての太鼓関係者が集まって演奏する「廻り太鼓」。

会場となる小文字通りを埋め尽くす太鼓、山車、関係者。祭りは最高潮の時を迎えます。

小倉の街に400年に渡り続く伝統のお祭り『小倉祇園太鼓』。期間中は小倉の街は至る所が太鼓一色です。折角の機会ですので、観るだけでなく、参加して、ぜひ良き思い出に、そしてご利益を頂いて下さいね。

その他、北九州市内には20以上の祇園など、沢山のお祭りがあります。ぜひこちらの記事もチェックしてみて下さい。

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KA-TSU

旅行会社に勤務することで旅好きとなり、旅人になるために独立。ガイドブックでは分からない、体験に基づく旅情報を発信しています。 また、SNS等を活用したwebマーケティングや、ビジネスプロデュースなどの依頼にも、極力お応えするようにしています。 私のSNSもぜひご覧ください。