【竹並祇園】北九州一の高さを誇る人形飾り山笠(北九州市若松区)

祇園祭を中心に、数々のお祭りがしっかり残り、受け継がれている北九州市。その中でも、他のどの祭りとも似ていない、独特のスタイルを持つ北九州市若松区の『竹並祇園』。

今回は、その竹並祇園の魅力について、お話させて頂きたいと思います。

竹並祇園の歴史

竹並祇園は、建武2(1,335)年の建立と伝えられている、北九州市若松区竹並の須賀神社で古くから伝わる祗園祭です。

竹並祇園自体の起源ははっきりしていませんが、諸説存在します。

一つは、「寛政4(1,792)年、二度の台風で稲が大被害を受けたのをきっかけに山笠を出した。」という説。

もう一つは、「村の年貢米を盗んだ太七という男が、竹並の太七原で首を切られ、その翌年稲に害虫が大発生したため、村人は太七の恨みだとして、山笠を出して太七の霊を慰めた。という説。

そして、「疫病が流行したため山笠を出した」等の説です。(以上、北九州市のHPより引用)

戦時中も途切れること無く続けられたそうですが、昭和28年の水害の時は中止だったそうです。

竹並祇園の特徴

竹並祇園は、北九州の他の祇園祭などと比べても、どこにも似ていない、独特のお祭りです。

どちらかと言えば、博多祇園山笠の人形飾り山笠に近いスタイルです。

大きな人形飾り山笠

竹並祇園の山笠は、人形飾り山です。人形飾り山は、黒崎祇園山笠など北九州市内の山笠に多く見られますが、竹並祇園の山笠は、その中でも一際大きな山笠です。

全高が7mにもなり、かなりの迫力です。

派手な装飾

人形を中心とした山笠は、その他に「スダレ」と言われる、竹ひごに造花をつけた飾りが目を引きます。

これは田川の川渡神幸祭などに見られる「バレン」と呼ばれる、稲穂を模したものと似ています。これは一般的に五穀豊穣を祈願する意味があるので、起源の諸説の中にある、豊作を祈願したいる意味合いがあると思います。

ちなみに北九州市内でこのスダレ、バレンが見られるのは、若松の各祇園(竹並、二島、岩屋、脇田)そして、曽根神幸祭です。

さらに、山笠の前後につけられた幟、提灯など、全体的に派手な作りとなっています。

重たい舁き山

竹並祇園山笠は舁き山です。担ぎ手の力を合わせて担ぎ上げ、運行するスタイル。北九州市内では戸畑祇園大山笠とここ竹並祇園山笠のみです。前述した博多祇園山笠でも大きな人形飾山で舁き山は、上川端商店街の山笠のみですので、かなり貴重です。

その重さもはっきりしませんが、2トンとも言われています。

4つの舁き棒に多くても40人位の担ぎ手ですので、単純に計算すると一人50キロ以上の負荷がかかります。そのため、全員が肩当て(肩座布団)を纏っています。

しかも、担ぎ手の人数が不足しているため、数メートル進んでは力尽きる、場合によっては持ち上がらない、という事を繰り返しながらの運行です。

重く過酷な運行のため、天秤にバケツで水を持った若い担当者が(小中学生くらいか)、山笠が止まっている間、忙しく駆け回っています。

担ぎ方

担ぎ方も独特です。

まず舁き棒ですが、山笠にロープで縛り付けていますが、しっかり固定されておらず、上下に動く、遊びを設けています。重たい山笠を担ぐための工夫だと思いますが、バランスをとるのが難しそうです。

また、担ぎ手の向きも独特。

一般的な山笠は、その進行方向に向くのが普通だと思いますが、竹並祇園山笠は違います。

全員が舁き棒の内側に立ち、右肩で担ぎます。つまり、舁き手の半分は、進行方向に対して後ろに進む事になります。

なお、以前、前後2本ずつの舁き棒は、青年(15〜25歳)が2本、若中老(26〜30歳)が1本、本中老(31〜40歳)が1本担ぎ、山笠を安定させるための綱を引っ張る「ツナヒキ」と呼ばれる役は、青年会に入ったばかりの一が受け持つというルールがあったようですが、現在はそのようなルールはなく、青年などの呼び名もほぼ無く、保存会のメンバーにより運行されています。

掛け声

掛け声も独特で、担ぎ上げるときには「チャーリー、ノー、ソリャー ! モヒトツ、セー、ノー、ソリャー!」といって気合を入れます。

そして運行時には「ヨイサー」。戸畑祇園大山笠の「ヨイトサ」に、少し似ています。

ちなみに、北九州市内の多くのお祭りの掛け声が「わっしょい」をベースにしています。また黒崎祇園山笠では場面によって「オイサー」なども使われます。

竹並祇園山笠の開催日程、スケジュール

竹並祇園山笠の開催日は毎年7月中旬の土日。

1日目は「お下り」で、須賀神社から御旅所である竹並公民館辺りまでの運行です。(昭和29年までは、御旅所が太七原だったそうです。)

時間は20時頃、山笠を先頭に、槍などのお供が続き、一番後ろが御神輿の御神幸です。真っ暗な中、浮かび上がる山笠の光が幻想的です。

2日目は、16時頃に出発。初日と逆のコース、並びも逆で御神輿を先頭に、最後尾に山笠に寄る御神幸です。

また、御神輿と山笠の間に子供山笠も運行します。

竹並祇園山笠の見どころ

竹並祇園山笠の見どころ、魅力とも言えるのが、重たい山笠を必死に担いで運行する、その担ぎ手の姿そのものではないでしょうか。

運行速度もゆっくり、休み休み、見ているこちらにも力が入り、応援したくなる。

また、山笠の近くに寄ることもできるので、その迫力、気迫を、すぐ近くで感じることが出来ます。

ゆっくりとした運行ゆえ、移動距離も短く、その全てを余すこと無く観ることができる。それも観る側にとっての見どころでしょう。

担ぐ方は、本当にお疲れ様です。

北九州市内にある、様々なお祭りの中でも、独特なスタイルを持つ『竹並祇園山笠』。ぜひ一度、ご覧頂きたい、素晴らしきお祭りです。

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KA-TSU

旅行会社に勤務することで旅好きとなり、旅人になるために独立。ガイドブックでは分からない、体験に基づく旅情報を発信しています。 また、SNS等を活用したwebマーケティングや、ビジネスプロデュースなどの依頼にも、極力お応えするようにしています。 私のSNSもぜひご覧ください。